互いに剣を構える。
「いくぞッ!」
「うむ」
キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!
むっ、さすがは〈剣技・中級〉スキルだ。
巻き毛や小太りとは、剣速も重さも比べ物にならない。
キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!
赤髪が跳び退って間合いを取った。
「ど、どういうことだ!?」
「……?」
「何で〈剣技・中級〉スキルを持つ私と、《無職》の貴様が互角に斬り合っているのかと訊いているんだ!」
なんか
チュドーン
あつーい
いてぇー
みたいなやつあったよな
三人が横一列に並び、赤髪の合図で歌がはじまった。
「「「よっこら無職 キンキンキン!」」」
可愛らしく精いっぱい<剣技・中級>スキルで三人が戦い始める。
両手を前に伸ばし腰を落として上下に激しくシェイクしながら右に左に剣を揺らす。
「「「武器をふりふり キンキンキン!」」」
次は元気よく回転して背中を向け、腰に手をあて、剣を振りながら腰を振る。
「「「擬音の数だけ つっよいぞ♪」」」
しゃがんで擬音に手を当て上目使い。
「「「出てくる敵は よっわいぞ♪」」」
体を半身にして武器を手でもちあげ剣先を見せつけてくる。
「「「よっこら英雄 キンキンキン!」」」
サビらしく冒頭と同じ振りだ。
「「「キンキンキンキン キンキンキン!」」」
背中を向けて剣とスキルを振る。
「「「〝インフィニットブレイク〟」」」
最後は全員でおもいっきり〝神足通〟で距離を詰め、赤髪に肉薄した。心底楽しそうに串刺しにして終了。
「おっ、お前ハっ……がふっ……け、《剣神》なのカっ……あがっ……」
「違うな。俺はただの《無職》だ」
投稿者ぷっく2018年7月18日
形式: Kindle版
Webで読んだ身なので恐縮ではありますが、この本レビューの多数を占めるような駄文ではありません。
個人的には泉鏡花や中島敦、三島由紀夫などに名を連ねる名文であると思います。
文章力というのは言うなれば語句の取捨選択能力であると個人的には考えています。
この作品では戦闘描写を「キン」という金属の擦れ合うような擬音のみで表現しているのですが、この点こそがこの本を名文足らしめる一因になっているのでしょう。
「キン」という一音に情景描写の全てを委ねる。一見すると単なる駄文、阿呆の考えのように思われますがこれが実に良い。
「キン」の一音の連なり、文章リズム、語調の良さは中島敦の漢文調に負けずとも劣らぬ読み心地の良さを読者に与えてくれています。
それでありながら「キン」という小学生にも伝わる擬音で、太宰治のようにユーモラスかつ十全に描写をしてのけるその文章センス。
まさに脱帽です。後世に残る名文といっても過言ではないでしょう。
批判をされている方々は是非とももう一度山月記と畜犬談をお読みいただきたい。
ストーリーだけではない、文章そのものの面白さが理解できるかと思います。
ピックアップ
なんか読みたくなる
ここ最高
バンバンバンバン!
でええやろ(適当)
キンキンキンキンキンキンキンキン
ギンギンギンギンギンギンギンギン
パンパンパンパンパンパンパンパン
アンアンアンアンアンアンアンアン
説明長すぎると読み飛ばされるだけや
空の境界とか好きやけどそこは嫌い
キンキンのウェーブはもう過ぎたぞ。